ピルを服用することで得られるメリットがたくさんあることは知っていただけたかと思いますが、その反面デメリットがあることを知っておかなければなりません。
ここではピル服用にあたって最も不安視される、血栓症についてみていきたいと思います。
そもそも血栓症とはどのようなものなのでしょうか。
血栓症とは、何らかの原因で血液中に血の塊ができ、この血の塊によって血管が詰まり、血の流れを止めてしまう病気です。
血液が正常に届かなくなってしまうと、臓器の機能が低下してしまったり、最悪の場合、臓器が壊死してしまうこともあります。
ではなぜピルを服用することで血栓症のリスクが高まってしまうのでしょうか。
実はピルだけでなく、女性ホルモン剤を投与する場合は血栓症のリスクが伴います。
これはピルなどの女性ホルモン剤に含まれるエストロゲンの成分には血液を固まりやすくする作用(血液凝固作用)があるためです。
では実際どの程度のリスクがあるのでしょうか。
実はピルを服用したことで血栓症になることは非常に稀です。
確かにピルを服用することで血栓症のリスクが高まることは医学的に証明されています。
しかしそもそも、血栓症は誰にでも起こりうる症状でもあるのです。
ピルを服用していない人の場合、年間1万人に1~5人の確率で発症、ピルを服用している人の場合は年間1万人に3~9人の確率で発症するといわれています。
この数値を見る限り確かにピルを服用することによりリスクは上がります。
しかし、妊娠中及び産後12週間の人が血栓症を発症する確率は1万人に40~65人という統計がでているように、妊娠中や産後の人の方が、遥かにリスクが高いことが分かります。
また、血栓症でも命に関わる症状を引き起こす可能性は1割であり、ほとんどは早期発見によって軽症で済むこと多いため、それほど過度に心配する必要はありません。
では、実際にピルを服用してからどれくらいで血栓症になってしまうのでしょうか。
ピルの服用を始めてすぐに血栓ができるというわけではありません。
服用開始から3か月以内に発症しやすいといわれているため、半年以上問題なく服用できていれば血栓症の心配は少ないといえるでしょう。
しかし、一度服用を中止して再度服用を開始する場合は、再開後3~6か月以内は発症のリスクが高いとされるため注意が必要です。
以下の項目に当てはる人は血栓症になりやすいとされているので注意が必要です。
その他にも体質や疾患、薬の飲み合わせによって血栓症を引き起こすリスクが高まる場合があるため、不安な点がある場合はしっかり医師に相談するようにしましょう。
血栓症の初期症状としては以下の項目があげられます。
これらの症状がみられたらすぐにピルの服用を中止し、医療機関を受診しましょう。その際にピルを服用していることを必ず伝えてください。
血栓症は日ごろの注意で予防することができます。
たとえば、長時間同じ姿勢でいることは血栓症のリスクを高めることになります。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとっているのなら、立ち上がるなど姿勢を変えたり、適度な運動やマッサージを心がけることで対策することができます。
また、こまめに水分をとることも大事です。
身体が脱水症状に陥ってしまうと、血液がドロドロになってしまい血栓ができてしまうリスクが高くなってしまうので、こまめに水分補給をしておきましょう。
このように血栓症にならないために自分自身でできる対策はいくつかあります。
せっかくピルを使用して避妊やニキビ改善などの効果を受けられるのに、血栓症になってしまっては意味がありません。
できる対策はしっかり実施しておきましょう。